地震や火事などの災害はいつ発生するか分かりません。
いざというとき「最低限これさえ持って逃げれば大丈夫!」という安心のために、災害用リュック(非常持ち出し袋)を用意してみたのでご紹介します。
「非常持ち出し袋」と「備蓄」は別物
「非常持ち出し袋」とは、すぐに避難しなければ命に関わるような危機が迫った場合に自宅から持ち出すためのもの。
一方で「備蓄」とは、自宅にとどまる“在宅避難”を前提として部屋の中に置いておく、備蓄しておくもの。
この2つは別物として認識する必要があります。
自宅にとどまることができないような、すぐに避難しなければならない時には非常持ち出し袋が必要です。
非常持ち出し袋(災害用リュック)にいれるものを考えてみた
もし災害が起きてしまった時、避難生活はどこでスタートするでしょうか。
近くの学校の体育館や自治体の公民館などの避難場所、ホテルなどの宿泊施設、親戚や友人の家、もしくは自宅の庭や車中泊などが考えられます。
慣れない避難場所での生活はどんな1日になるか、朝起きてから夜眠るまでの1日をイメージしながら必要なものを準備しましょう。
災害用リュックに入れるものは、「軽量」「コンパクト」「少量」「持ち運びしやすい」アイテムを選ぶようにしましょう。
非常時に、何より守るべきは命です!
まずは避難所まで無事にたどり着くことが最優先です。
本当に必要なもの以外は、命の危険がなくなったあと道路や家などの安全を確認してから、取りに帰るようにしましょう。
また、季節ごとの対応も必要です。家族構成によっても必要なものが違ってきます。
季節によって必要なもの
◆冬用 □カイロ □保湿クリーム □防寒具(厚手の靴下、ニット帽、手袋、ウインドブレーカー)
◆夏用 □汗拭きシート □塩タブレット □虫除けスプレー □日焼け止め
家族によって必要なもの
◆赤ちゃん
□母子健康手帳 □ミルク(液体タイプが◎) □哺乳瓶・マグ・ベビー用食器 □ベビーフード □おしりふき □おむつ/使用後のおむつ入れ □ガーゼ(口腔内や体の清拭に) □授乳ケープ □抱っこ紐 □おもちゃ
◆高齢者
□老眼鏡 □入れ歯 □入れ歯洗浄シート(水が不要なもの) □成人用おむつ □折りたたみ杖 □補聴器
◆ペット
□フード □食器 □療法食、薬 □ケージ※ □予備の首輪 □リード(伸びないもの) □ペットシーツ □排泄物の処理用具 □トイレ砂などトイレ用品 □ブラシ □おもちゃ □飼い主の連絡先、緊急連絡先 □ペットの写真 □ワクチン接種状況や健康状態、既往症の記録 □かかりつけの動物病院の連絡先
※ペットは、隔離飼育できるケージ等の持ち込みが避難所の受け入れ条件になっている場合があります。避難所の運営については、お住まいの自治体がペットの受け入れをどのように行っているか、かならず事前に確認してください。
災害用リュック用意してみた
非難するときに両手が使えるようにリュックタイプ(リュックは防水使用だと安心)がおすすめです。
重さの目安は、男性は15kg・女性は10kg程度。
あれもこれもとたくさん詰め込むと、重たくなり過ぎて逃げる時に苦労するので注意が必要です。
自分には何が必要か、背負える重さ、あると便利なものを吟味し、一人3日分くらいの食糧品と水・日用品・非常用トイレを持って逃げましょう。
なぜ3日分必要かというと、地震発生後72時間は人命救助活動が最優先になり、救援物資がすぐに避難所に届くとは限らないからです。
その期間は助け合いながら自力で乗り切る覚悟が必要です。
また、避難所のトイレは不衛生で使いづらいこともあるため、非常用トイレの持参をおすすめします。
ほかにも体を拭けるウェットティッシュがあれば体を衛生的に保つことができます。
避難時に使うもの
家から避難先までの移動をサポートするもの。街灯が壊れて真っ暗だったり、雨が降っていたり、雪道かもしれません。
避難する時に使うものは、リュックの中には入れず近くに準備して置いておきましょう。
□歩きやすいスニーカー(避難する際、がれきやガラスから足を保護するため)
□ヘッドライト(家族の人数分を用意しましょう)
□ホイッスル/防犯ブザー
□軍手(革製かゴム製 ケガの予防のため)
□ヘルメット
□雨具(ポンチョ、レインコート)
□避難先を書いた紙のメモ、紙のハザードマップ
□もし余裕があれば持ち出したい貴重品の一覧(書類、宝石など)
非常持出袋の中に入れるもの
応急手当用の救急セット
災害発生後の3日間は人命救助が最優先されます。命に関わらないケガは自分で対応するしかありません。
□絆創膏
□包帯、ガーゼ
□消毒薬
□毛抜き、万能ナイフ
必需品
あなたの生活に欠かすことができないもの。ほかでは調達しづらいもの。メガネや補聴器、持病の薬、入れ歯、サイズの合うオムツ、生理用品など。
□常備薬・持病薬・おくすり手帳(その他にも、ビタミン剤など日頃使っているサプリメントなどもあるとよいでしょう)
□メガネ・コンタクトレンズ
□女性は生理用品、髪ゴム(お風呂に入れない時、髪をまとめれば不快感が軽減します)
水と食料
調理不要で軽量なものを中心にできれば3日分、最低限1日分は準備しましょう。
とくにアレルギーがある方は、少し多めに用意できると安心です。
□飲料水(1人あたり一日3リットル目安。脱水予防に効果的なスポーツドリンクや長期保存可能な野菜ジュースも◎。野菜不足になると体調を崩しやすくなります)
□食料 (アメやチョコレートなど甘いものも)
□防災加熱セット(発熱剤と加熱袋のセット。水を入れてパウチ食品などを温められるもの。とくに冬場に重宝します)
□食器
重要書類、貴重品
避難生活を続け生活を立て直すために必要な重要書類は、一式コピーを用意しておくことが望ましいでしょう。
免許証やマイナンバーカードなどのコピーがあると、銀行でお金をおろす時などの身分証明になります。
□免許証、マイナンバーカード、健康保険証
□通帳の表紙、クレジットカード券面、パスポート、加入保険の証書や契約書、年金手帳
□現金(小銭や1000円札をを多めに。自動販売機や公衆電話用に百円や十円硬貨もあると安心)
□身に付けられる入れ物(避難先で貴重品を身につけておくためのサコッシュやポーチ)
避難生活を支えるもの
□スリッパ(冷たい床対策)
□アイマスク、耳栓
□マスク (感染予防、防寒用としても使える)
□消毒ジェル・スプレー (流水で手洗いできない場合にもあると便利)
□非常用トイレ、トイレットペーパー(水に溶けるのでティッシュより◎)
□歯ブラシ・マウスウォッシュ(口腔ケアが不十分になると、むし歯だけでなく感染症を引き起こす場合もあります)
□ウエットシート(入浴できない災害時には体を拭けるなど重宝します)
□基礎化粧品(オールインワンタイプ)
□タオル
□アルミシート、薄手のストール、ブランケット(やわらかく音のしにくいものを選んで。羽織る・敷く・かける等様々な用途に使えます)
□着替え・下着(動きやすいものを選びましょう。雨にぬれないようポリ袋などに入れておく)
□ビニール袋(大小合わせて10枚ほど。雨具や敷物・簡易トイレ・ゴミ袋としても使用可能。プライバシー保護のため透けないものを)
情報収集ツール
救援物資がどこでもらえるかなどの情報収集に。また、もしも家族とはぐれてしまった時に捜索に役立つもの。
□スマホの充電ケーブル、電源タップ、モバイルバッテリー
□携帯ラジオ、イヤホン(手回し発電機能があると◎。イヤホンは避難所でまわりの人に迷惑をかけずラジオなどを聴くときに)
□家族や大切な人のプリント写真、連絡先メモ(裏に名前・連絡先を書く。携帯電話に登録していても、バッテリーが切れたら見られなくなるので紙にも控えておく)
□ノート・筆記用具、布ガムテープ(ガムテープは、敷き物の固定や伝言メモの貼り付け、持ち物の記名、壊れた物の修繕、傷口の止血などにも使えます)
□持ち出しアイテム一覧のプリント
ほとんどのものが簡単に入手できるものばかりですが、すべてのアイテムを揃えるのは、正直なかなか面倒くさいと思います。
一気に揃えようとせず、まずは予算を決めたりカテゴリーを絞るなど、少しずつ用意していくのがおすすめです。
持ち出しアイテムの詰め方と置き場所
■種類ごとに分けて収納を
持ち出すアイテムは小物ばかり。透明で口が閉じられるフリーザーバッグを使って種類ごとに分けて収納するのがおすすめです。中身が見えるので使うときに探しやすく、雨などに濡れても荷物が守られます。
■重いものは上に
リュックに詰めるときのテクニックとして、タオルなど軽いものが底のほう(体から遠くなるよう)に、水や缶詰など重いものは上のほう(肩の近く)になるように入れましょう。 リュックを支える肩と重いものの距離が近くなることで、下に引っ張られる感覚を和らげることができて軽く感じられるそうです。※登山などで重宝される荷造りのテクニック。
■入れたものを記録
非常時には何が入っていたか確認する余裕はありませんので「持ち出しアイテム一覧」を用意しておきましょう。できれば紙にプリントアウトして、リュックの一番上に入れておくのがおすすめです。
また、非常持ち出し袋はサッと手に取って家を飛び出すためのものです。避難するときに必ず通る場所、玄関などの「避難経路」に置きましょう。
くれぐれも押し入れや物置など奥の方には入れないよう注意!
完成したあとも定期的に見直して更新しましょう
非常持ち出し袋が完成すると「これさえ持って逃げれば何とかなる」という自信と安心につながります。
とはいえ油断は禁物です!!
季節物の入れ替えや非常食の交換など、定期的に見直しを欠かさずに更新し続けていきましょう。